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エッセイ・NO.10  「新聞(朝刊)の一面で筆が紹介されました」
                                   (2013.9.3)


 大分合同新聞の日曜朝刊の「OITA CONTINUE」シリーズで筆が紹介されました。
新聞一面を使ったこの企画の趣旨は次のように書かれています。(2013.8.25 日曜日 朝刊

 協賛社の皆さまとともに、大分の素晴らしさを伝える「OITA CONTINUE」は
3年目を迎えました。今シリーズでは、今も息づく大分の「技」をテーマに、地域との
つながりや歴史背景を紹介します。大分の良さを再発見・再認識し、後世に伝え
るきっかけになれば幸いです。

     
    大分合同新聞です。ページは入れ替えています。乾燥中の筆を添えてみました

 OITA CONTINUE  技   【 筆 】 繊細な手技が生む 確かな道具

 質感、色合い、筆先の量、軸の長さ、ひとつひとつ違う表情をみせる筆。繊細さと力強さを
兼ね備え、書き手の個性を輝かせる。それを実現するのは卓越した筆職人の技。しかし近年、
筆作りは分業化が進み、歴史と伝統に培われた筆職人は「絶滅の危機」にあるという。今から
千年以上昔、筆作りの技法は大陸から伝わり、古都・奈良の地において発展してきた。

 杵築市山香町。 のどかな田園風景が広がる山奥の小さな工房で、その技術は受け継
がれている。「奈良筆」の本場で修業を積んだ筆職人・御堂順暁氏は、代々続く浄土真宗・
願教寺の住職を務めながら、一本一本丹念に筆を作り続けている。

 その手仕事は実に細やか。まず原毛を選別する「毛組み」から始まる。これはいわば設
計図のようなもの。馬毛・羊毛・狸毛など厳選した天然の動物の毛を、独自の配合で組み
合わせる。そこから灰をふりかけ熱を加えた「火のし」、墨含みを良くする「灰もみ」、美
しい毛に整える「寸きり」など様々な工程を経て最後に筆銘を彫る。一本の筆が完成する
までには多くの技術が必要となる。

 熟練の技が生む唯一無二の一本は、使ってこそ活きる道具。書道だけでなく、絵手紙や
水墨画など用途はさまざま。ひとたび手に取れば、それは新たな驚きをもたらす。繊細な
ものづくりが失われつつある今こそ、日本の古き良き道具を身近に感じ、伝えたい。

 (記事を全文転載しました。協賛社名は、申し訳ありませんが、省かせてもらいました。)

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 8月20日、猛暑の中、若い取材班が4名来訪したのには驚きました。(テレビでは良く
あることですが)その内3名は「筆の写真を撮ってきます」といって、小さな筆掛とその辺
にあった筆を自分たちで選んで、何本か持って寺の本堂の方に行きました。私は、工房で、
記事を書く女性の方の質問に答えながら、筆職人になった経緯、様々な筆や原料・道具
のこと、職人の世界の後継者問題など、多くのことを話しました。

        
     工房の玄関(正面木戸)から3分の2位の室内です。色々散らかっています。ネコが寝ている所に
       普段はパソコンを置いています。仕事台は、一番右端の机と、撮影場所より後方にあります。

       
 しばらくして、話も一段落した頃、写真班が戻ってきたので、「今度は、私の顔写真を
撮るの?」と聞いたら、「いいえ。もう、終わりました。写真は一枚しか載せられません
ので。」との答えが返ってきました。写真に撮られる緊張から解放されたものの、すこし
残念な気がしたのも事実です。

 さて、8月25日の日曜・朝刊に載るとの事だったので、期待しつつ開いてみてビックリ。
やはり、一面全部はインパクトがあります。色々話したことをどのようにまとめたのか?、
筆写真だけなら私がこれぞと思う筆を選んで渡せばよかった…などと気になっていまし
たが、若いスタッフさんたちは、記事も写真も素晴らしい仕事をしてくれました。

 筆を、「使ってこそ活きる道具」という視点から、記事がまとめられており、また、写真
の筆も特に高価なものでなく普通の筆ですが、墨を含ませれば「新たな驚きをもたらす」
雰囲気を漂わせているのには、作った本人もしばし見とれてしまいました。写真力の高さ
が、それを引き出してくれています。

 これまで、雑誌や新聞に何度も載せてもらいました。今年も、テレビの地方局のニュース
に3度ほど出ました。しかし、新聞一面全部というのは始めてです。ある人に「自分で宣伝
したの?」と聞かれました。とんでもない、そんなことはできません。協賛社の方々がお金
を出して、大分県のためにこのページを作って下さっているのでしょう。本当に有り難いこ
とです。お世話になりました。
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